• 2023.05.10
  • マニュアル作成を学ぶ

マニュアルと手順書の違いとは?作成ポイントや作成例をご紹介

一般的に「マニュアル」と「手順書」は似ている言葉のため、同じ文章として扱われます。しかし、実は両者には大きな違いがあるのです。また、作成方法が異なるため、作り方を間違えると、うまく機能しなくなる恐れがあります。そこで今回はマニュアルと手順書の違い、作成のポイントと作成例をご紹介します。

マニュアルと手順書の3つの違い

「マニュアル」と「手順書」は、どちらも業務や作業に関する内容を記載しています。マニュアルと手順書の違いとは、大きく分けると「目的」「範囲」「内容」の3つがあります。

1.「目的」
マニュアルの目的は「業務全体の概要や流れ、ルール」などを表したもの。手順書は「業務の中にある作業の具体的なやり方」を表したものです。もう少し具体的にお伝えすると、マニュアルは、作業内容や手順だけでなく、環境や関連する業務などを考えながら行動するための情報をまとめます。

一方、手順書は決まった作業を安定してこなし、手順書にそって作業し、社員が同じ結果を出し、ばらつきを少なくするために作成します。

2.「範囲」
マニュアルが扱う範囲は、業務の手順、概要、背景、理由などを説明することです。どうしてその作業をするのか、理由や背景まで知ることで、作業前後のプロセスや影響範囲について考えながら行動するようになります。手順書は業務の手順を細かく説明します。順を追って説明すると、だれでも同じ作業ができるレベルになります。

例えば、手順書ではカレーをどのように作るのかについて説明しますが、マニュアルではそれに加えて、カレーの歴史や入れる肉の種類によっての変化、どうして煮込むのかという理由も記載します。

3.「内容」
マニュアルでは業務に関する全体のノウハウや作業方法を記入します。ほかにも業務上に必要な知識、品質基準、システム構成、業務フローなどの業務に関する基本情報が体系的にまとめられています。一方、手順書では目的や事前準備、手順やポイント、作業時間、注意事項など誰でも作業するうえで、必要な項目が記載されています。

例えば、手順書では契約書の手続き手順について記載し、どのように作成していくのかを記載しますが、マニュアルでは概要や事前準備、契約書の種類などの説明を記載します。

ここまででマニュアルと手順書の違いについて、お伝えしました。ほかにも似た言葉で「標準作業手順書」SOP(Standard Operating Procedures)と呼ばれていますが、すでに確立した製品仕様や製造手順などの基準をまとめたものもあります。では次にマニュアルと手順書を作成するための5つのステップをご紹介します。

マニュアルを作成するための5つのステップとは

マニュアルと手順書では、どちらも同じようなステップがありますが、最初と2つ目のステップに違いがあります。

ステップ1:マニュアルの対象範囲を決める
マニュアルを作成する目的からどこまで対象とするかの範囲を決定します。すべての業務をマニュアル化するのは困難なので目的を定める必要があります。具体的には経営目標や目指すもの、あるべき姿、理念、課題や具体的な成果などです。また記載するために「誰のために、どんな目的で、マニュアルを作るのか」を具体的に決めます。

ステップ2:構成(目次)を決める
マニュアルの中身を作成するのではなく、構成を組み立てます。構成を作成すると項目の抜け漏れがなくなり、読みやすいマニュアルになります。いわば、手順書はマニュアルの一項目を支えるものになります。また書く内容をあらかじめリストアップしておくと整理しやすくなるためおすすめです。さらに、作成スケジュールを決めるとスムーズに進みます。完成させたい時期から逆算し、作成に必要な期間や工数を考慮したうえでスケジュールを決定します。

ステップ3:内容を記載する
構成が決まったら実際にマニュアルを仕上げていきます。マニュアルの内容にあったフォーマットを準備しておくのがおすすめです。例えば箇条書きなら「ステップ式」、状況別なら「フローチャート式」で作成します。注意点としては、実務とマニュアルが乖離しないように注意しましょう。そのために、社員にヒアリングをしたり、実際の作業を観察してみてはいかがでしょうか。また、内容を記載するうえでのポイントについては後述します。

ステップ4:仮運用をする
作成が終わったら、次に仮運用をします。ここが重要なポイントです。いきなり全体に展開すると混乱してしまうので、まずは小さな人数で使い勝手を試してみるのがおすすめです。一回で完成形を目指すより、複数回の運用を繰り返して改善していくほうが、完成度の高い手順書に仕上がります。

また、現場の反応を見ながらフィードバックをもらうと、「必要な情報が漏れていないか」「追記する情報はないか」本格運用の前に再確認できます。

ステップ5:改善・アップデートをする
マニュアルは一度作成しても改善やアップデートが必要となります。業務内容が変化したり、新商品やサービスが生まれたりするのに合わせて、改善・アップデートをしましょう。また運用していると現場とマニュアルで認識のずれなどが発生します。想定外の出来事が発生した際にもマニュアルの内容を更新し、対応できるものに仕上げていきます。

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手順書を作成するための5つのステップとは

次に手順書を作成するための5つのステップについてお伝えします。ステップ3以降はマニュアルを作成するためのステップとほとんど変わりません。

ステップ1:手順の洗い出しをする
手順書は、作業者のスキルや経験によらず、だれもが同じやり方同じ時間で作業ができ、同じ質を目指します。そのため、一つの作業を完了させるために必要な手順を洗い出します。抜け漏れがないように作業しながらメモを取ったり、社員にヒアリングをします。

ステップ2:構成(目次)を設定する
説明から書き始めると、抜け漏れが起こるだけでなく、読み手を無視した手順書になるので注意しましょう。記載するときには作業ごとに工程や注意事項、判断基準、補足事項などを整理し、時系列に並べて記載していきます。

ステップ3:内容を記載する
構成が決まったら実際に手順書を仕上げていきます。ワンポイントとして、イラストや表、作業風景の写真などを入れると視覚的にわかりやすくなります。

ステップ4:仮運用をする
作成が終わったら、マニュアルと同じように、仮運用をします。少ない人数で確認してもらうだけでなく、すでに作業を経験した方や初めての方にも実際に手順書のみで作業が完結できるか試してもらいましょう。その結果に応じて、修正や再考を行います。

ステップ5:改善・アップデートをする
ステップ5もマニュアルと同じように、業務内容が変化したり、新商品やサービスが生まれたりするのに合わせて、改善・アップデートが必要です。状況に合わせて更新を繰り返すと、業務の品質向上や新人の育成にも役立ちます。

ここまで、マニュアルと手順書を作成し、運用するまでの5つのステップを解説してきました。次に、手順書・マニュアルを作成する際に共通する3つのポイントと作成例について説明します。

伝わりやすいマニュアル・手順書を作成するポイント

マニュアルと手順書は、人が読むものです。どちらを作成するにしても、伝わりやすいものにするためのポイントを4つご紹介します。

ポイント1:読み手のことを考え、内容は具体的に書く
マニュアルや手順書は、読み手が「これはどういう意味だろう?」と迷ってしまうと内容としては不十分です。できる限り具体的に書くのが、1つ目のポイントになります。

具体的に書くコツの1つは「5W1H」を満たすように書きます。「What(なに)」「Who(誰)」「Where(どこ)」「Why(なぜ)」「When(いつ)」「How(どのように)」が入っているか確認しましょう。

また多い、少ないという抽象的な表現ではなく、できる限り具体的な「数字」を入れると誤解が少なくなります。

例えば「お客様が減ったら、ペーパーの補充をする」と書くと「減る」の定義が読み手によって違います。これを「お客様が残り〇組になったら、ペーパーの補充をする」としておけば迷いがありません。

ポイント2:初心者でも理解できるものにする
マニュアルや手順書を読む人は、その業務において初心者であるということを意識しましょう。初心者にもわかるよう、専門用語の使用を控え、どうしても必要な場合は説明を添えるなどの工夫が必要です。また、文章を短く、必要な情報に絞って記載すると読みやすくなります。

ポイント3:画像や表を活用する
テキストだけでなく、画像や表も取り入れましょう。テキストだけではマニュアルを作るのが難しいため、「作業の様子がわかる写真」、「業務の流れを示すフローチャート図」などを盛り込みます。ただし、注意する点として、画像や表を入れすぎるとわかりづらくなるため、適度に挿入します。

ポイント4:誰でも簡単に使えるツールで作成する
マニュアルや手順書を作成するために、パソコンを使うと思います。多くの人は「ワード(Word)」や「エクセル(Excel)」に画面を切り取って、貼り付けして作成するでしょう。しかし苦手な社員がいた場合、使いこなせず、次第に誰も利用しなくなります。また、更新をするときにもITに得意な社員がいないと作業ができず、アップデートができなくなります。

たとえばシステムの手順を作成するときに、1度操作をするだけでソフトの手順が自動で簡単に作成でき、パワーポイントと同じように直感的に操作できる「iTutor」というマニュアル作成ソフトを利用すれば問題ありません。

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まとめ

「マニュアルと手順書の違いとは?作成ポイントや作成例をご紹介」と題しまして、ご説明してまいりました。マニュアルと手順書は似て非なるものであり、それぞれの作成するうえでのポイントや共通の作成ポイント、作成例を取り上げました。

しかし、誰でも先に挙げたようなポイントを網羅し、マニュアル・手順書の作成がスムーズに進められるわけではありません。マニュアルと手順書の違いを理解し、作成ポイントを押さえながら薦めていきましょう。

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