事例でご紹介 自治体DXを加速させるマニュアルとは?
目次
多くの企業で取り組まれ定着化しつつあるDX(デジタル・トランスフォーメーション)ですが、民間企業に限らず地方自治体においてもDXの取り組みが求められています。DXに向けた取り組みが既に始まっている自治体もある一方、自治体DXの推進は遅れているのが現状です。なぜ、自治体DXはなかなか進まないのでしょうか。
本記事では、自治体DXにおける課題、自治体DXを加速していくためのポイントについて、事例つきでご紹介してまいります。自治体DX推進ご担当者様はぜひ参考にしてみてください。
自治体DXとは
自治体DXとは、自治体がAI、クラウド、ビッグデータなどの最新デジタル技術を活用し、行政サービスの質を向上させ、業務効率化を図り、最終的に住民のみなさまの生活の質向上を目指す取り組みのことです。従来の行政サービスは、窓口での手続きや紙媒体でのやり取りが中心で、時間や手間がかかるといった課題がありました。自治体DXは、こうした課題をデジタル技術の力で解決し、より便利で使いやすい行政サービスの実現を目指します。
自治体におけるDXの目的
自治体DXにおいて総務省では以下を求める取り組みとして位置づけています。
○ 自らが担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して、住民の利便性を向上させる
○ デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げていく
(参考:総務省 自治体DXの推進)
一般的に、民間企業でのDXが企業の利益向上を目的とするのに対し、自治体DXは住民の利便性と地域社会の発展を目的とします。
では、具体的な取り組みはどのようなものが挙げられるのでしょうか。
主な取り組み
- 行政手続きのオンライン化
・住民票の写しや戸籍証明書の取得、税金の支払いなどをオンラインで行えるようにする。
・マイナンバーカードを活用した本人確認を推進し、電子申請を可能にする。
- データの一元管理と活用
・複数の部署で共有するデータを一元的に管理し、業務の効率化を図る。
・データ分析を通じて住民ニーズの把握や施策の改善を行う。 - テレワークやクラウドの導入
・職員のテレワーク環境を整備し、災害時でも業務が継続できる体制を構築する。
・クラウドサービスを活用してシステムの運用コストを削減し、セキュリティ対策を強化する。 - AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用
・AIを使ったチャットボットによる住民対応の自動化。
・RPAによるルーチン業務の自動化で職員の業務負担を軽減する。自治体DXの実現により、煩雑な窓口業務や紙の書類による申請がなくなれば、職員だけでなく私たち住民にとっても利便性が高まると想像できます。
自治体DX推進に立ちはだかる壁
自治体DXを推進できている自治体がある一方、まだまだ思うように進んでいない自治体が多いというのが現状です。
では、なぜ自治体DXは進まないのでしょうか。
自治体DX推進における課題
- デジタル人材の不足
自治体DXの推進には、職員が新しい技術やシステムに対応できるようになる必要があります。しかし、DX担当者は既存の職員が兼務で担っているケースが多く、専門知識を持った人員が不足しているというのが現状です。通常業務との兼務により担当者の業務負担は大きくなってしまっています。 - 予算不足
新しいシステムやデジタル技術の導入など、自治体DXの推進には相当の予算が必要となります。しかし、自治体の予算は限られており、DXに投資できる余裕がない自治体も多くあります - 既存システムとの連携
新たなシステムを導入する際、既存システムの連携が必要になる場合があります。システム間の互換性や、データ形式の違いなど、技術的な問題を解決するために、多大な時間と費用がかかる可能性も考えられます。 - セキュリティ面の問題
各サービスのデジタル化を進めると、個人情報保護の観点からより強固なセキュリティ対策が求められます。サイバー攻撃による情報漏洩やシステム障害は、自治体の信頼に大きな影響が及ぶため、セキュリティ対策は大きな課題となります。 - 利用者(住民)への対応
自治体DXは住民サービスの向上を目指していますが、住民側の理解が得られないと、実質的な効果は得られません。特に高齢者など、デジタルリテラシーの低い層への対応が課題となります。
自治体DXの加速にマニュアル作成が重要なワケ
自治体DXでは、電子申請システム、AIツール、RPAなど様々な新しいサービスが多く導入され、DX推進担当者は、新しい技術や制度に関する知識、関係部署との調整能力など、幅広い業務が求められます。しかし、多くの自治体では、DX推進担当者は専門部署ではなく、既存業務と兼任しながら、手探りで業務を進めている場合も少なくありません。
慣れない業務に加え、日々変化するデジタル技術への対応など、多くの課題に直面するDX推進担当者にとって、分かりやすく整理されたマニュアルはDXを円滑に進めるための基盤となります。
自治体DXにおける課題を解決し、自治体DXを加速していくにはマニュアルが重要な存在です。
では、マニュアル作成にどのような効果があるのか具体的にみていきましょう。
マニュアル作成による効果
- 新しいシステムやサービスの理解
自治体DX推進において、システムやサービスの導入など新しい取り組みは欠かせません。
新しい取り組みを推進していくためには、具体的でわかりやすいマニュアルが必要です。マニュアルがあれば、技術的な知識が少ない人でも手順を確認しながら操作を理解できます。 - 業務の標準化・効率化の向上
統一されたマニュアルに基づいて業務を行えば、担当者によるバラつきがなくなり、業務の標準化が図れます。また、効率的な手順を明記することで、業務の効率化、時間短縮にも繋がります。 - デジタル人材の育成
自治体DXに関する基礎知識や業務手順、関連法令などがマニュアルとして体系的にまとまっていれば、担当者は誰でも一定レベル以上の知識を身につけられます。また、ベテラン職員のノウハウや経験といった情報を見える化し、属人化を防ぎ、組織全体のDXリテラシー向上にも繋がります。 - 新人・異動者へのスムーズな引継ぎ
自治体では、多くの場合2〜4年の周期で人事異動が行われます。十分な引継ぎ時間がない中でも、滞りなく業務を進行することが求められます。マニュアルがあれば、新人の職員や異動してきた職員もスムーズに業務を理解し、早期戦力化が期待できます。 - 住民対応のサポート
住民向けのデジタルサービスのマニュアルがあれば、窓口での問い合わせ対応が減少し、職員の負担軽減と住民満足度の向上が期待できます。自治体DX推進において、マニュアルは単なる手順書ではなく、職員の意識改革、スキル向上、業務効率化を促進するための重要なツールなのです。
マニュアルには、DX推進の全体像から、具体的な推進方法、留意点など、DX推進に必要な情報を体系的に整理し記載しましょう。
マニュアルの具体的な内容
- DX推進の全体像
・自治体DXの目的や意義
・自治体DXの推進体制
・自治体DXの目標設定とKPI
・自治体DXの全体工程 - DXの推進方法
・職員の理解度向上と人材育成
・業務プロセスの見直しと業務改革
・情報システムの整備
・データ利活用の推進
・セキュリティ対策 - 利用者(住民)への対応
・住民への周知・広報
・住民サービスの改善
・住民の意見収集と反映 - その他の留意点
・関係部署との連携
・予算や財源の確保
・外部専門家の活用
・進捗管理とモニタリング - 利用システムやデジタルツールの手順書
・利用しているシステム、ツールの概要
・職員の操作手順
・住民の利用する操作手順
・FAQ
・トラブルシューティングこうした項目を整理すれば、DX推進の全体像が明確になり、具体的な取り組みを体系的に進められます。また、マニュアルには、取り組み事例や参考資料なども掲載し、DX推進担当者の学習・実践を支援できると人材育成に繋がります。
そして、DX推進担当者だけでなく、組織全体での活用が不可欠となります。
自治体におけるマニュアル作成を事例で学ぶ
自治体DXの推進においてマニュアルが重要な存在であるとわかりました。しかし、マニュアルを作成するにもリソースや時間がかかります。
マニュアル作成にもDXを取り入れ、ツールで自動化するというのも一つの手です。
岩手県奥州市様
奥州市では、システムの入れ替えに伴い、部署ごとに担当者が作成してきたマニュアルを刷新し、ばらつきのあったマニュアルの統一化を実現しました。わかりやすいマニュアルの作成により、職員からの問い合わせが減り、業務の効率化に繋がっています。
さらに今後は動画の活用で人材育成や住民サービス向上を目指しています。
詳細は導入事例をご確認ください。
導入事例:システム刷新に伴うマニュアル作成にiTutorを活用 業務効率化を全庁に展開目指す
マニュアルの作成により、自治体DXの推進が期待できます。
まとめ
「事例で紹介 自治体DXを加速させるマニュアルとは」と題してご紹介してまいりました。
自治体DXは、住民の暮らしをより良くするための重要な取り組みです。そして、その実現を担うDX推進担当者の役割は非常に重要です。
分かりやすく実用的なマニュアルは、DX推進担当者の不安を解消し、スムーズな業務遂行を支援する強力なツールとなります。
自治体DX推進担当者がこれらのポイントを理解し実践できれば、住民の生活をよりよくするためのデジタル化を成功に導くことができます。
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